目次
役割は?
マスターというのはテレビ局の中にあり、完成された番組を各家庭に向けて放送する部屋のことです。
呼び方としてはマスタールームや主調整室だったり様々な呼び方があります。
業務内容
監視業務
完成された番組が正常に放送されているか監視を24時間行います。
ノイズや再生が急に止まったりした場合、すぐに復旧できるよう目視で放送を監視します。
トラブルが起きる原因は様々ですが、主な原因は機械トラブル、生放送とかだと回線不良などです。
マスター施設はどの局も予備系統が2〜3系統用意されているので、何かトラブルが起きたら、系統を切り替えることが多いです。
とても緊張する作業が発生したりするので、機械トラブルへの対処方法もそうですが。日々の勉強とても大切になっていきます。
速報対応
ニュース速報や地震速報を操作しているのもマスターの仕事です。
僕はBS局に勤務していたのですが、BSは全国放送なので、最初の頃はすごく緊張しました。
ちなみに局にもよりますが、速報を出す上でのルールがその内容によって細く決められています。
例えば、速報を入れる際のチャイムの有無であったり、CMに被せていいものがあったりします。
デスク業務
放送データのチェックを行います。
テレビというのは番組が流れて、途中でCMや提供が流れたりしますよね。
あれは、あらかじめ何時何分にCM。何時何分に番組本編という風にデータが丸一日組まれていているのです。
そのデータを放送日の前日に全てチェックするのがデスク業務です。
放送データは進行部というところで作られてきていて滅多にミスはないのですが、たまに素材と放送データで差異があるので、
こちらも重要な業務になっていきます。
バンク業務
番組やCM、提供の素材をサーバーに取り込みます。
みなさんが普段見ている番組やCM、提供はすべてそれぞれ専用のサーバーに取り込まれています。(生放送は除く)
それがテレビ局のメインの収入源になりますので、バンクもとても大事な仕事になります。
勤務時間はどんな感じ?【シフト制になります。】
マスターという仕事はシフト制になります。
僕が勤務していた所はこんな感じのシフトでした。
●遅番(15:00〜22:00)
●夜勤(22:00〜8:00)
●デスク(11:00〜19:00)
しかし、大きな災害があるとその対応に後処理などに追われ残業が発生します。
僕が経験したものですと2016年に起きた熊本地震の時に7時間残業しました。
あの時は夜の22時から地震が起き始め、深夜2時〜3時に報道特番に放送データを書き換えたり、
次々に地震速報やら、ニュース速報が来て、本当に息つく暇がなかったのを今でも覚えています。
ちなみにいつも2時〜3時に休憩を取るのですが、ちょうどその時間に放送データの書き換えが発生したので、
その日は休憩無しで17時間勤務でした(笑)
今の自分の体力や法律だと考えられないですね・・・
マスターに向いている人
マスター勤務に向いてる人は下記の3つだと経験上思います。
ルーティン業務が好きな人
マスターの業務は基本全てがルーティンです。
毎回この時間にチェックするものが決まっていたり、対処の方法などもほぼ固定です。
僕はこのマスターという仕事以外にも色んな仕事をしてきましたが、
この仕事ほどに同じことの繰り返しをする仕事はありませんでした。
テレビが本当に好きな人
交代制ではありますが、24時間放送を監視しなければなりません。
そうなると当然自分の興味のない番組も見なければなりません。
僕が勤務していたのはBS局でしたので、昼間は韓国ドラマ、夜は通販番組の再放送。
これらを何回も見なければなりません。
これに関しては時代の流れもあるかとは思いますが、先輩たちも家ではほぼテレビを見ないという人もいたので、
本当にテレビを見ることが好きじゃないと長く続けるのは難しいと思います。
機械の仕組みに興味がある人
マスターの仕事は基本的に監視業務ですが、機械トラブルの対処もしなければいけません。
時にはマスター設備の系統図も読む必要が出てくるので、ある程度機械に興味がある人でないと厳しいと思います。[/voice]
マスターで働くメリット
シフト制なので、平日に時間を休むことができる。
特に若手の時は公休日を土日にするのは先輩方に気を遣ってしまい、できません。
ただ、平日にしかできない楽しみを味わうことができます。例えば僕は気になるお洒落なお店にランチを食べに行ったり、
(高級そうなお店でもランチなら意外と入りやすいんですよ!)空いている状態で買い物ができたりします。
同じマスターの仕事であれば転職しやすい
この記事の冒頭でも書きましたが、マスターという仕事はテレビ業界の人でも知らない人が多い仕事です。
なので、マスター経験者ともあれば、テレビ業界では割と重宝される人材になることができます。
マスターで働くデメリット
シフト制なので、体調を崩しやすい。(特に夜勤が大きな要因だと思います。)
まぁ、学生から社会人に環境が変わったのと、入社していきなり一人で他社に派遣されることになったので、
そのストレスもあったとは思いますが・・・
入社して2~3ヶ月経ったある日、突然すごいだるさと腹痛に襲われたので、病院に行き、熱を測ったところ、
熱が39℃あり、胃腸がだいぶ荒れていると言われ、「急性胃腸炎」と診断され、その場で今日から入院してください。
とお医者さんに言われ入院することになりました。
あの時のことは今でも覚えています。
ルーティン業務が中心で、将来役に立つスキルがつきにくい。
僕がこのマスターという仕事を辞めるきっかけになったのは正直このデメリットが大きいです。
基本的に監視業務がメインなので、他の職場での汎用性がありません。
転職エージェント数社の方に伝えましたが、どこも取り合ってもらえませんでした。
放送事故が起きた場合どうなる?
テレビの電波は総務省の管理下にあるので、放送事故が起きたら、総務省に届け出をしなければなりません。
実際僕も監視中にCMの再生が途中で止まるという前代未聞の放送事故を経験しましたが、その時も局員さんが総務省に
報告をしていました。
CMはテレビ局の収入源なので、とても大きな放送事故になりました。
ちなみ原因が僕ではなく、メーカーが本来、放送休止中にやらなければならないメンテナンスを
昼間に行ったために起こりました。
やはりマスターという仕事はとても責任重大なお仕事なんだと痛感しました。
出会いはある?
出会いはあります。
シフト制なので、偏りはありますが相性の合う人と近いシフトになれば、
仲良くなるチャンスはたくさんあります。
まとめ
マスターの仕事は基本監視業務がメインで、いつもは平和なのですが、
本当にいつ何が起こるかわかりません。
いきなり、機械トラブルが起きたり、いきなり災害が起きたりします。
それらに適切に対処するには日頃から設備のことだったり、速報の運用ルールだったりの勉強が欠かせません。
今回は僕がテレビ局で働いていた場所「マスター」について詳しく書いていきたいと思います。
テレビ局の仕事の中でもかなり珍しい仕事でテレビ業界の人で知らない人がいるほど珍しい仕事ですので、
かなりマニアックな内容になります。